自転車が趣味な人でも、イベントなどへの移動はさすがに自“動”車を使うだろう。
もちろん、会場まで絶対に自走するという強者もいるとは思うし、フィクションサイクル店長が知っている強豪選手達には自走派が少なからず存在する。
今回はその話は置いておくが、なぜ自動車用のパーツなのかといえば、前回あるレースイベントにブースを出店した時、ルームランプを前日から点けっぱなしで駐車していまい、撤収時にバッテリー上がりという手痛い目にあったからだ。
自動車メーカーによっては古くから「ルームランプの自動消灯機能」が採用されている車種もあるのだが、残念なことに今回の車両にはそれがなかった。
バッテリー上がりは近代車にとって致命的な問題でもあるにも関わらず、この機能はまだ一般的ではない。
「どうでもいい機能」といっては失礼だが、他の快適装備を犠牲にしてでも全車標準装備にでもして頂きたい気もする。
もちろんコスト面や、そもそもユーザー側の不手際が原因なので、そう強気に言えたものではないが。
タイマー内蔵LEDランプ「LP-463」
自動消灯機能を追加するには、回路を組み込めばいいのだが、それも面倒な話である。今回試してみたマイクロコントロールシステムズ社の「タイマー内蔵LEDルームランプ」は既存の電球と置き換えるだけという非常に簡単なものだ。
金額的には2千円強の出費であるが、万一のバッテリー上がりを回避できると思えば安い保険料とも考えられないこともない。
その仕様は以下のとおり
対応規格:T10-31(管幅10.5 mm x 全長31mm)使い方に特に説明の必要はない。
定格電圧:12V
消費電力:0.8W
消灯時間:5分/10分/15分(商品別に異なる)
そのまま付け替えるだけだ。
個人的には長時間の点けっぱなしを防げればいいので、消灯までの時間が一番長い15分タイプを選択した。
この15分がどのくらい正確なのかをテストするため、同品番を2つ用意し、左右のマップランプに組み込み同時に点灯させてみた。
平均で15分35秒とほぼカタログスペックに近い値が記録された。
ちなみに消灯直前には約20秒間ほどLEDが早めの点滅を繰り返し、タイマーが機能していることを教えてくれる。
点滅については、ちょうど自転車用LED前照灯の点滅モードを想像するといい。
5回ほどテストしたが、消灯時間の範囲は+-5秒以内で安定している。
また製品における個体差も今回は約10秒ほどであった。
光の感触としては、LED特有の純白色であり、かなり明るくなったように感じる。
全体の光量もアップしているようだ。
純正採用のT10-31電球は「消費電力8W」だったため、LEDに交換するだけでも1/10の省エネに繋がってくる。
自転車にもある自動点灯/消灯アイテム
灯火類の点け忘れ、消し忘れは誰でも経験があることだろう。自転車ではもう20年以上前から、ナショナル(現パナソニック)の「かしこいランプ」が存在しており、今ではオートライトハブの普及によって無灯火での夜間走行はかなり減ってきたように思う。
しかし、廉価帯の商品にはそのような装備がなく、また使用者も安全意識や道交法について知識の浅い若年層が多いことから、知らず知らずのうちに危険行為を犯しているということも少なくない。
自動車の世界では、業界団体が力を持っているためか、ユーザーがうっかりミスを防止する機能が次々と採用されてきているが、自転車は安全講習を受ける義務もなければ、法律の理解度を測る試験もない。
今の時代、「なにも知りませんでした」では済まされないのは周知の事実ではあるものの、自転車を使用するにあたっては、各自で頑張ってくださいといった程度だ。
もちろん、各団体は自転車の安全使用についての警鐘を常に鳴らし続けているし、道交法改正を受けてはメディアも大きく取り上げていた。
しかし罰則面ばかりが目立ち、技術面での対応は遅れているように思う。
ハンズフリーをオプション設定しているクルマはあっても、イヤホン不要のオーディオを採用した自転車などがカタログに存在しないように。
1万円台の自転車が世に蔓延っているようでは、事態の打開も期待はできないが、各メーカーや関係団体はもう少し必要装備のボーダーラインを引き上げてもらいたいものだ。
現状の利益優先の売った者勝ちという過当競争の中、業界内で勢力を伸ばし続けているのは大手小売業だ。
自転車の規制緩和以降、彼らが削り続けてきた安全に対するマージンを回復することは難しいが、ユーザー側もそれではいけないとそろそろ気づかなければならない。
通学自転車にオートライト装備を必須とする学校も地方では増えてきていると聞くが、灯火類に留まらず、世界中にはもっと様々な視点から安全を追求した商品がリリースされているので、その存在が世間に知られるだけでも、大きな一歩と言えるだろう。
LEDを使う際の課題
これは自転車にはあまり関係ないことだが、置き換え型のLED球は電球タイプと配光(光の広がり方)が異なるため、光源は明るくなっても、体感として暗くなったように感じることが多い。今回はマップランプを交換したが、直線的なLED発光では思うように光の方向がコントロールできないため、場合によっては不便を感じることもあるだろう。
これは一例だが、ランプ本体を加工し光度を調整したものだ。
全方向に発光する電球では問題なかったが、シェードが邪魔をし1/4ほどロスしている。
その部分をカットすることで視認性を向上させている。
ちなみに、街乗り自転車に多く採用されているランプ用ダイナモ規格の「6V/2.4W球」の交換用LED電球も最近では多く目にするようになったが、背面のリフレクターがあまり機能しないため、全体の光量が下がり、視認性を悪化させるという問題もあるようだ。
lampざっくり言うと、ライトは明かり全般、ランプは照明装置そのもののことである。
lǽmp[名]照明装置,明かり,灯火,ランプasafetylamp|安全灯atable[adesk]lamp|(卓上)電気スタンドafluorescent[anincandescent]lamp|螢光けいこう[白熱]
プログレッシブ英和中辞典(第4版)
ネット上でさらに検索すれば、諸説あるようだが、ライトはアメリカ英語、ランプはイギリス英語などといった主張は間違いのようだ。
日本人の感覚としては、ライトもランプも同意義で解釈されているが、本国では単語に明確に違いがある。
試しに「ライト=光り」「ランプ=灯火装置」に置き換えてみると、先ほどの会話はこうなる。
「光り点いてないよ?あー球切れじゃなくてダイナモ灯火装置が発電してなから交換だね」
いかがだろうか?違和感はないと思う。
自転車の前照灯は、装備されている状態で指差すのであれば「ランプ」
夜間走行中に点灯させて機能している状態なら「ライト」という表現するのが正しいだろう。
ランプが装備されていても、ライトオンされていなければ、やはり無灯火なのだから。
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