2015年11月13日

「WIAWIS」サイクルモード2015最大の衝撃


WIAWISという自転車メーカーをご存知だろうか?
おそらく日本でこの名前を聞いてピンとくる人間は皆無に近いはずだ。

WIAWISは2014年に自転車界に進出した新興ブランドであり、驚くべきは韓国メーカーであるところに尽きるだろう。
なぜ驚くかといえば、韓国は近年では自転車大国の樹立を目指して国家主導で普及活動を推進しているものの、それこそ10年ほど前までは、自転車の文化らしいものは一般層にまったく浸透しておらず、そこからわずかな年月で自転車メーカーが誕生するとは夢にも思っていなかったからだ。
さらに特筆すべきは、彼らが「MADE IN KOREA」と大きな表記で韓国産をアピールしているところでもあるだろう。

ここまで誇らしくデザインされた生産地表記がかつて一度でもあっただろうか。

ちなみにブランド名でもある「WIAWIS」とは、
WIA (Winning Action) 勝利の行動+WIS (Winning Spirit) 勝利の精神
を合わせた造語だ。

英語圏では「ウィアウィズ」と読まれることが多いようだが、本国では「ウィアウィス」と最後のSは濁らない。
ハングルで書いた場合は「위아위스(Wi+A+Wi+Su」)となり、「ス」の音が強調される。

日本国内でもオフィシャルがカタカナで表記する場合は、「ウィアウィス」で統一されているようだ。


韓国の自転車事情

韓国の自転車文化の発展については、メディアに取り上げられることもほとんどないため、日本国内ではその動向を掴むことすら困難であるが、実は10年以上前にひっそりとMTBブームが起きていたのである。
しかし彼らが好むのは舶来品、特に欧州ブランドであり、韓国産ブランドの誕生など期待すらされていなかっただろう。
それに、ブームと言ってもスポーツバイクは一部の富裕層による愛好会的な趣味の域を脱せず、一般層は自転車を貧乏人の乗り物だと軽視し続けていた。

かつて日本向けに自転車を生産していた三千里自転車も、当時は韓国内相手に商売をする気はほとんどなかったように見えた。
市内イベントにおける三千里自転車のブース(2015/10)

関連情報
自転車産業振興協会 韓国自転車業界近況
http://www.jbpi.or.jp/pox0dwp45-498/?action=common_download_main&upload_id=324

しかし月日は流れ、国策でもある自転車発展政策は広がを見る。
漢江サイクリングロードなどの走るための環境作りが先行して行われると、待ってましたとばかりに一気に自転車ブームが一般層に拡大したのだ。

ソウル中心部でも高級レーサーが人気の様子

韓国のサイクリングロードを走っていて面白いのは、古参のMTB派と、新興勢力のロードバイク派、そして彼らに憧れるエントリー層が低価格のルック車で、それぞれ同じように走っている姿を見られることだ。
そして間違いなくロードバイクはその主役の座を奪おうと、年々台数を増しているように感じる。

もし「韓国」と聞いただけで反射的に毛嫌いする日本人自転車乗りがいたのならば、是非ともその目で確かめてくることをオススメする。
日本には存在しないほど高いレベルで整備されたサイクリングロードに始まり、各所で開催される自転車イベント、果ては多額の税金を投入して作られた子供向けの自転車学校・・・
昔を知っていればいるほど、その急成長に衝撃を受けることだろう。

またフィクションサイクルが以前入手した情報では、あのアメリカS社が本格的に韓国マーケットを狙っており、ショールーム&ギャラリー開設のためにソウル南部の物件を探しているとの事だったが、その家賃予算は月額で数百万円というのだから、その本気ぶりが伝わってくる。
他にも、日本進出を見送り、韓国を販売拠点に選ぶ大手海外ブランドも多くいると聞いている。

WIAWISの自転車界への進出も、そんな状況を見極めてのことかもしれない。

自転車通行レーンがいたるところに整備されている(京畿道)

自転車学校には専門の知識を持った指導員もいる(京畿道)

管理されたハイキングコースでは、ライダーとハイカーが笑顔で譲り合う姿を良く見る


原点はアーチェリーの製造から

自転車のメーカーのステータスは、そのブランドの歴史にある。
そう言われて・・・、あるいはそう思われていたのはもう過去の話となってしまった。

百年以上さかのぼってみれば、まず自転車創成期には自転車ブランドは創業者や工房主の名前から多かっただろう。
あの有名なエドアルド・ビアンキもその一人だ。

そして自転車レースが盛んになってくれば、今度は輝かしい戦績を収めた選手の名前が冠されるようになってくる。
今もっとも多いのはこの類かもしれない。

ツールドフランスの歴戦の勇者たちは、こぞって自転車ブランドの名前となった。
古くはエルネスト・コルナゴ(大きな活躍はできなかったが・・・)やジョバンニ・ピナレロ。
中期ではトルミーノ・ジオス、エディー・メルクス、ファウスト・コッピ。

それこそ最近では、ミスター・プロローグことクリス・ボードマンや、イタリアの伊達男、マリオ・チッポリーニのバイクまで登場しており、おいおいお前もか・・・?
と溜息が出てしまいそうになるが、やはりスター選手の名が付けば新興ブランドは売れるのだろう。

しかし今回取り上げている「WIAWIS」のバイクブランド誕生に際して、レースでの輝かしい実績や伝統の自転車工房はその影は見せない。

WIAWISとはWIN&WIN社のアーチェリーおよび自転車向けブランドの名称であり、WIN&WIN社というこの会社はアーチェリー選手でもあったパク・ギョンレ氏が1993年に立ち上げたものだ。

つまりは元々アーチェリーの製造メーカーであり、自転車メーカーではない。
これは自転車界では珍しいことではないのだが、あまりその前身を知られていないために真実をしって驚く人も多くいることだろう。

例を出せば、スキーレーサーであったエド・スコットが立ち上げた「スコット」はもともとスキーポールからスタートしているし、「ルック」はスキー技術をペダルに転用したのが始まりだ。

他にもカーボン全盛期になり、カーボンを扱うブランドがそのままのネーミングで自転車に参入してくるケースも増えた。
ゴルフシャフトの「グラファイトデザイン」、ウインドサーフィンの「ニールプライド」、バトミントンの「ヨネックス」などが有名だが、それぞれその業界でトップレベルの技術を保持しており、それを自転車フレームに転用したという共通の経歴がある。

同じくWIN&WIN社もアーチェリー市場では圧倒的なシェアを誇るメーカーのため、カーボン技術が活かせる自転車に参入したのも頷けるだろう。


YAMAHAとの意外な接点

フィクションサイクルが今回のサイクルモード2015で注目したのは2点。
ひとつは初出展のWIAWIS、そしてもうひとつがヤマハのYPJ-Rだったのだが、WIN&WIN社の年表を追ったところ、意外なことにここにも「ヤマハ」という文字が出てきたのだ。
※電動アシスト自転車を販売する「ヤマハ発動機」とは別会社

2002年に「ヤマハのアーチェリー生産設備を獲得」とあるのだが、これはヤマハのアーチェリー部門撤退の時期と重なる。

少し勘ぐって、この自転車にもヤマハの技術が活きているのかと思い、情報を探してみたところ、a-rchery.comというサイトから面白い話が出てきた。

2002年2月1日、ヤマハがアーチェリー部門からの撤退を発表。9月末、撤退。ヤマハがスキーから撤退した時も、テニスから撤退した時も知っています。そしてそこで働いていた人間として、企業の論理もヤマハのやり方もよく知っています。だからこそ誰を恨むのでもありません。だからこそ、ひとつだけヤマハを許せないことがあります。それは日本のアーチェリーの原点を語り、Citationと川上杯でアーチェリーの夢を目指し、それらを製品とアーチャーに還元し牽引してきたヤマハが、「UDガラスプリプレグ」「中芯幅削り器」「真空パック」「プレス機」「金型」を売り渡したことです。事情はわかります。しかし川上源一氏がもっとも嫌った相手に。それはライバルや目標とする相手ではありません。もっとも節操のない相手に、我々が築いてきたものを節操なく売り渡したことが許せないのです。そこに「誇り」と「哲学」もあわせて売ったのか、とっくになくしてしまったから撤退があったのか。
 だから言います。「たい焼き製法」は完成していません。そしてたぶん節操のない企業に完成させることはできないでしょう。それはこの製法が「サンドイッチ製法」を越える可能性と同時に、元々越えられない運命を持つ製法だからかもしれません。例えば重さ。例えば硬さ。最後のパワーリカーブが克服するには時間がなかったこれらの問題を解決することは、ヤマハでなければ不可能であり、ヤマハに完成させて欲しかった技術でした。
http://www.a-rchery.com/bow17.htm
フィクションサイクルは自転車店なのでアーチェリーの業界に対して明るくない。
なので、この機材の売却先が当時のWIN&WIN社だったのかは確証は得られていないのだが、時期的にも内容的にも、可能性として濃厚な線である。

ここからは全て仮定での話だ。
このa-rchery.comというサイトで上記の内容を書いたのは、おそらくKさんというアーチェリー選手と思われる。
この方の経歴をウィキペディアで確認すれば、70年代にアーチェリー選手を、そして80年代にはヤマハで開発や営業をしている。
そうでなければ、ここまでカーボンコンポジット成型(たい焼き製法)の機材を詳しく語ることはできないはずだ。

そしてここで書かれている「もっとも節操のない相手」とうのは、当時の情報から推測するに、安かろう悪かろうで市場拡大を目論む韓国メーカー、つまりはWIN&WIN社だったのではないだろうか?
サイトの内容を読む限り、当時アーチェリーが日本国内でまったく知名度のない時代において、その普及を図り、文化を創造したのはヤマハである。
そのヤマハが不採算を理由に撤退したのだが、その発端は韓国製の安価なアーチェリーの市場流入にもあるようだ。
そのような文化自体をビジネスの名の下に食い荒らそうとする相手に対して、自らの設備を売却することがどれほど許せないことであったか想像に容易い。

正直な話、アメリカ国内においても韓国製品の問題には頭を痛めているようです。「何が悪いの?」、とお思いでしょう。確かにすべての韓国製品、すべての輸入業者に問題があるわけではありません。しかし例えば今回のヤマハ撤退後の日本のアーチェリーを考えると分かり易いかもしれませんが、これで「普及」という底辺の部分の支えが完全に抜け落ち たことになります。個々のアーチャーや地方協会の草の根や手弁当はともかくとして、システムや資金の部分で大きな後ろ盾を失ってしまいました。また「強化」においても、最先端の技術や道具を真っ先に供給してくれる、あるいは新たな研究開発とそのフィードバックを行ってくれるメーカーも失いました。そこに安い(?これが大きな疑問なのですが)道具だけがビジネスとして進入してくる。このことにHoytも危惧しています。とは言え、アメリカ最大のマーケットはコンパウンドでありハンティングであって、この現実は日本を直撃したわけです。たしかにいろいろな要素は絡み合ってはいます。しかし自由競争といえばそれまでなのですが、それなら「普及」と「強化」の車輪の両輪を担ってくれるパトロンなりシステムを構築し直すさなければ、今はともかくとして数年後には食い荒らされた残骸だけになってしまいます。
http://www.a-rchery.com/yamahadead.htm
残念なことに、ヤマハ撤退から13年が経過した現在でも、アーチェリーは市民的な競技スポーツに昇格したとは到底言えない状況である。
もしヤマハの撤退がなければどうなっていたのか?
ちょっと気になるところだが、そもそも高価格が商品ネックとされていたヤマハが事業を継続していたとしても、競技人口の裾野を拡大できたかどうかは疑問だ。

ここまでのアーチェリーの話は自転車業界からすれば少し遠い世界の事に聞こえる・・・

いや、そうではない。

自転車界でも似たような内容の話を耳にタコができるほど良く聞かされる。
かつての関税撤廃で安い自転車が中国から押し寄せ、日本の自転車メーカーは壊滅的なダメージを受け、そのほとんどが消滅してしまった。
そして愚かなことに、そんな低価格商品と渡り合うために技術を海外に移管して競争力を付けたつもりが、逆にノウハウのすべてを抜き取られ、今度は世界と戦う術すら失ってしまったのだ。

今や自転車業界のスポーツ事業を支えているのは、製造メーカーではなく、輸入業者による部分が大きい。
もちろん、それは良い方向なのかもしれないが、グローバルな視点で捉えれば、日本マーケットは相手から喰われる側である。
もしかしたらアーチェリー業界も同じ状況なのかもしれない。

そして最後に、この未来予測の矛盾点だ。
残念なことに、「ヤマハでなければ不可能」という宣言は、こと自転車においては当てはまらなかった。
WIN&WIN社は、かなり高いレベルでカーボンを取り扱うことが出来ていると言っていいだろう。
カーボンフレームのカットサンプルからも成型技術の高さがうかがえる。

正直なところ、自分たちは韓国の技術レベルを少し甘く見ていたのではないだろうか。
自転車フレーム製造に進出して1年足らずで、ここまで完成度を高めてくるとは、いったいどんなカラクリなのだろうか。

もうひとつ残念なのは、もし当時ヤマハがアーチェリーから撤退せず、WIN&WIN社のように自転車部門への進出を図っていたらと考えた時だ。
国産カーボンの雄「ヨネックス」が注目されている以上に、ヤマハにマッチしていた商品と思うし、もしかしたら自転車レース界のスタンダードになっていたかもしれない。


ちなみにそのヤマハ(発動機)が韓国でどんな自転車ビジネスをしているかといえば、ハイブリッドという商品にご熱心のようだ。

これも日本では知られていない、そして走行することのできないジャンルの乗り物であるが、日本以外のアジア圏では人気が高い。

自動車が交通強者である韓国で、実際にこんなパフォーマンスしたら命の無駄遣いになること必至である。


韓国内外で普及拡大を目指すWIAWIS 開発陣には日本人の名前も

韓国で見慣れないロードレーサーが走っている。
実はそんな情報をキャッチしてフィクションサイクルが現地に飛んだのは2014年の冬のことだった。
とあるソウル郊外の自転車販売店に立ち寄ると、確かにそこにWIAWISは存在していた。
(今回のサイクルモードで聞いたところ、WIAWIS担当者も同じ店に訪問した経験があるとの事)

街の中にも、それこそ日本でもお馴染みの外車ブランドも走ってはいるのだが、その中に混じってWIAWISのカーボンフレームも当たり前のように並んでる姿も見かけた。

※もし上記写真のMTBに覚えのある方は熱狂的なフィクションサイクル閲覧者かもしれない。
「RAWカラー」クロモリフレームの作り方
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2014/09/raw.html

フレームの目立つ部分に「MADE IN KOREA」の文字。
これは、消極的になりがちな「MADE IN CHINA」とは違う、誇らしげなアピールだ。

この時は、ただ「この国にはすごい自転車があるものだ」という印象しかなかったが、正式に日本に導入されるとなれば見る目が変わるというもの。
まだ決定事項というわけではないらしいが、日本進出の目論みはサイクルモード出展を見ても明らかだろう。

しかし日本マーケット参入において、韓国製という称号はプラスに働くとは思えない。
ただでさえ舶来品至上主義のスポーツバイク界において、WIAWISの前途は多難が予想される。

例え日本製であっても、好むのは一部のマイノリティーか特殊な事情がある方に限られるのだが、それは性能を無視できた場合のみ発動する法則であり、もし他には存在しない圧倒的性能パフォーマンスがあれば、その壁をよろこんで乗り越えてくる別のユーザー層が存在するのだ。

それは圧倒的な軽さというポイントにおいて、軽量バイクマニア垂涎アイテムになる可能性が高い。
彼らは軽さを優先し、ブランドどころか時には安全性すら犠牲にしかねない、まさにストイックな種族だからだ。

そしてもうひとつの可能性は、開発チームに日本人が含まれるということだ。

さすがに韓国の輪界上層部に顔見知りはいないが、唯一の日本人である西井氏は現在でも日本MTB界の舞台で活躍する重鎮だ。
氏を直接知らなくても、彼がプロデュースした「ヒノキのバイクスタンド」は見たことがある人も多いのではないだろか。

カーボン繋がりでは、TREKのY33を駆る昔のイメージもあるが、彼は地域資源バンクNIUの活動の中でアーチェリーの内容に触れていることからも、WIN&WIN社との関係は自転車参入前からの、かなり深いものだったと思われる。

この日本人の存在がWIAWISを一気に身近なものに感じさせると同時に、短期間でこれほどまでに商品完成度を高められたカラクリも多少納得がいくものになるだろう。


その質量たった590g まさに凶器


展示POPには大きな文字で600gの表記、そしてその下にはカッコ付きで580~620gと書いてある。
どれが本当の重量なのか?
とりあえず真実を伝えているのは目の前のデジタルスケールに映し出される0.59kgという数値だろう。
もちろん何度も測定し直して確認している。
ナイフの性能がその切れ味を、戦艦が戦力が砲塔の大きさを競うものであれば、この自転車の軽さはまさに凶器のレベルだ。
軽いロードフレームは最近の流行でもあり、技術力の証明でもある。

スコットのアディクトSL(5.88kg)、トレックのエモンダSLR(4.65kg)に続いて、メリダのスクルトゥーラ9000(4.56kg)が最軽量の実用的市販車として脚光を浴びたが、そのフレーム重量はどちらも600g台後半~700前半だ。
(ADDICT SL 710g、EMONDA SLR 690g、SCULTURA 9000 730g、SUPERSIX EVO NANO 678g)

このあたりが最下限かと思わせておきながら、初登場の韓国ブランドがいきなり100gの大差を付けてエモンダをぶっちぎるのだから恐ろしい。
今回のサイクルモードの会場内でこれに太刀打ちできそうなのは、トライスポーツブースにあった完成車重量4.1kgのAX-ライトネスくらいなものだが、それでもフレーム重量でいえば650gはあっただろう。
つまりそれは、WIAWISをドイツの超軽量パーツでアッセンブルすれば、3kg台に突入することも夢ではないということだ。

そしてこのフレームはただ軽いだけではないことがBB周辺(BB86)の加工からも伝わってくる。
軽量フレームは軽さのために、BBにアルミスリーブなど入れないのが常識だが、プレスフィットをあのカーボンに圧入する感覚は、とても精神衛生上、良いものだとは思えない。

このWIAWIS「CUL6」が重量制限ありの一発屋機材とは一線を画し、安定したパフォーマンスを発揮できるバイクなのであれば、その技術力には目を見張るものがある。


未知の体験 カーボンらしからぬ反響音に秘密があるのか?

この業界最軽量バイク、「CUL6」は手に持った際の軽さも際立ったものだが、もうひとつ、他とはまったく違う素材の質感がある。

爪を立てて、フレームをコツコツと叩くと、極薄のセラミックのような鋭く、やや甲高い音がする。
従来のカーボンであれば、樹脂っぽい、どこか減衰したような反響音になるのだが、このフレームから伝わってくるのは、明らかな硬さである。

もちろん「CUL6」をテストライドしたわけではないので、乗っての硬さを感じることはできなかったが、素材の違いを感じ取るだけなら、手で触っただけでも十分だろう。

WIAWISの説明によれば、素材は自社開発のナノカーボンとされ、一般のカーボンバイクと比較しても耐久性で40%近くも優れているとの話だ。

ナノカーボンといえば、2008年にスイスのBMCが発表した「SLC01」が最初であったように記憶しているが、その当時のフレーム重量は970gであった。

これは補足情報だが、このナノカーボン技術はBMCではなく、あのアメリカのEASTONからのものだ。
イーストンといえば、古くから高性能なアルミ素材や、カーボン素材を得意とする、パーツメーカーのイメージが強かったが、その創業は実は「弓」であることをご存知だろうか?
1922年に創業者のダグ・イーストンがカリフォルニアで「」と「杉の矢」の製作を始めたのが最初とされているのだが、まさかここにまで弓が出てくるとは・・・

自転車と弓は様々な部分で共通点があったとは知る人も少ないだろう。

話は戻り、2008年あたりから自転車のフレーム素材に名前が台頭してきた「ナノカーボン」は開発が進められ、軽量化の流れを一気に加速させたのだ。

そもそもCNT(カーボンナノチューブ)とはどんなものなのだろうか?
細くて、軽くて、強い、それがCNTの特性です。アルミニウムの約半分の軽さ、鋼鉄の100倍の引っ張り強度、特に硬さにおいてはダイヤモンドの2倍とも言われます。一方で破断しにくく復元性に優れており柔軟性に富んでいます。
http://www.marubeni-sys.com/semi/cnt_web/cnt/feature.html
簡単に読み流しただけだが、自転車の素材としてまさに夢のような条件が揃っている。
もしこれは全て本当であれば、レース用自転車フレーム素材の主役は後100年くらいナノカーボンが独占し続けるであろう。

このハイレベルなプロダクツの真意を確認するために、もし機会があれば工場見学で内製の様子も見に行ってみたいと思っている。




WIAWISはいつから日本で販売されるのか?

これはフィクションサイクルではコメントのしようのない質問ではあるが、WIAWISの説明スタッフに聞く限りはそう遠くない未来だと思われる。

この韓国内向けの動画を見ても分かるように、密かに日本国内での発売準備を進めている。


もし正規の販売がスタートするのであれば、代理店制か日本法人が立ち上げられるのが業界のセオリーだが、元々アーチェリーメーカーとして日本国内での販売を行っているため、現行のWIN&WINジャパンを経由する可能性も十分考えられる。
もしかしたら、「地域資源バンクNIU」がそのまま販売を始めるのかもしれないし、残念ながらはっきりしたことは分からない。

そこで、もし早急に誰よりも先に手に入れたいのなら、お隣の国、韓国に行って自分で買ってくるという手がある。
590gのフレームなら、もしかしたら韓国海苔に匹敵するお手軽なお土産になるかもしれない。

イノベーター理論を引用するのであれば、イノベーターからラガードまでの5段階が存在する中、「イノベーター(Innovators:革新者)」は冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人で市場全体に占める割合は2.5%とされている。

商品購入層ピラミッドの頂点である「イノベーター」を自負する自転車乗りには、是非ともチャレンジして頂きたい一品だ。


鳥獣被害対策 威嚇用パチンコ ゴムスリングショット
VERY100
販売価格 ¥1,150
(2015年11月13日1時0分時点の価格)
※フィクションサイクルは架空の自転車店のため、WIAWISを取り扱う予定はまったくありません。

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