2014年3月5日

gyutto mini K vs PAS Kiss mini

今年2月に発売されたばかりのパナソニック「ギュット・ミニ・K」
最初に見たときの印象は・・・、ヤマハ「キッスミニ」・・・?と間違えんばかりのルックス。
ではこの両者、どのくらい違うのかをインプレしてみたいと思う。

え、フィクションサイクルで3人乗り電動?と意外かもしれないが、当店はオールドカンパから9,800円のママチャリまで古今東西、自転車にまつわるすべてのジャンルを広く深く取り扱っているため、3人乗り電動ももちろん許容範囲である。
ただしセールスポイントを並べて書くだけでは、他の自転車店と同じになってりまうので、自転車の性能面にウエイトを置いてまとめてみる。




それでは、最初から結論を言ってみる。
このインプレ勝負、キッスミニのほぼ圧勝である。

まぁ、これに関しては比較前から分かっていたことだが、この2台、価格帯レンジがまったく違う。
軽自動車と普通車を単純に比べて、普通車のほうが勝っていると決め付けることはしないのと同様で、今回の注目すべき点は、コストパフォーマンスで圧倒するギュットミニKが、王者キッスミニをどこまで追い込めるかというところだ。



■価格について

Panasonic ギュットミニK
定価:オープンプライス(予約の段階では108,000前後での定価表示あり)
実売:9万円後半~10万円前半

YAMAHA PASキッスミニ
定価:136,500円
実売:12万前半~後半

※価格は5%税込み
※2014年3月現在での調査

まずスタートラインの違う2台。
法改正された数年前からヒット商品への道を歩み始めた3人乗り電動。
その価格は10万円という大台から下がることはなく、子乗せ電動の先駆けでもあるマルイシ「ふらっかーずComoアシスト」から始まり、BS「アンジェリーノアシスタ」、パナソニック「ギュットミニ」、そして現在のヤマハ「キッスミニ」と、次々に天下を取ってきた名車たちいずれもが、価格を下げようという素振りさえしてこなかった。

反対に価格戦に持ち込みたい新興勢力ではいまだ対抗商品は出揃っておらず、先陣を切ったマルキン「デリシアデュオハイブリット」はいつの間にかカタログ落ちしているという状況。
専用ホームページを立ち上げるなどかなり気合が入っており、評判も上々と聞いていたが、まさかのフェードアウトであった。
また2014年春リリースと噂される、LAOXの新モデル「タスカルキュート」は昨年のサイクルモード以来残念ながら追加情報は確認できていない。

サイクルモードでのコンセプトモデル「タスカルキュート」


このジャンル、フィクションサイクルが考えるに、「ただ安い」という条件だけではヒットはありえない。
自分以外の命を乗せて道路を走ることを前提とするなら、安さの前に「安心」「安全」「信頼」という絶対条件が付くのは必須だ。
他メーカーもこの部分は重点的に注力してくるだろう。
しかしブリヂストンやパナソニック、ヤマハという国内トップブランドの看板の前ではどうしても霞んでしまう。
「Panasonic」のブランドが付いて10万円を切る。という価格はそれだけで他とは違う価値を持つのかもしれない。

■走行性能インプレッション


フレームやパーツ関係から感じる走行性能の違いはギュットK、キスミニともに大差ない。
両者ともアルミフレームを採用しているが、スポーツバイクに匹敵するか、それ以上の剛性感があるように思える。
強度面を重視している設計だからであろうが、フレームがしなっている感触はあまりなく、変なウイップが返ってくることもない。
かと言って乗り心地が悪いということも無いが、これは20x2.125という比較的太めのタイヤのエアボリュームの恩恵によるものだろう。

 ギュットミニK前タイヤ

キスミニ前タイヤ

タイヤに関しては同メーカーのまったく同じパターンのものが採用されている。
製造元は中国のチェンシンタイヤ(CST)だが、キスミニのみサイドに「BRIDGESTONE」のロゴが入る。
ちなみに実測はしていないが、記載のサイズによるタイヤ幅は57mmと太めなため、駐輪機に停める場合は事前にザイズを確認しておいたほうがいいだろう。

その他に外観から見る乗り心地の違いだが、キスミニは緩いカーブのベントフォークに対し、ギュットミニKはBMX風のなんとも頼もしいストレートフォークを採用している。
この違いがインプレに表れるかと思ったが、思いのほかハンドル周りにしなりがあるため、明確な差は分からなかった。
この部分は見た目以上に気にすることは無いだろう。

ここまではほぼ互角であるが、ブレーキに関しては多少差が出る結果となった。
 ギュットミニK デュアルピボットブレーキ

キスミニ スマートコントロールブレーキ

キスミニが採用するスマートコントロールブレーキはさすがは専用に開発されただけのことはあり、安定した製動力を誇る。
対するギュットミニKのダブルピボットブレーキは初期タッチは良好なものの、握りこんだ後半の制動が弱い。
特に高速ダウンヒルからタイトコーナーに飛び込むときなど、狙ったラインにうまく乗せられないことに不満を感じる。
これは推測するに、太いタイヤに対応するためロングになったアーチの剛性が不足し、たわんでいるのではないかと思われる。
もちろん一般的な使用では問題ないレベルではあるが、前後ブレーキのバランスを見たときに少し気になるところだ。

スマートコントロールブレーキの説明はこちら

最後に一番気になるモーターユニットの比較だが、これも両者の性格の違いが出た。

3つのセンサーできめ細かく制御を行うキスミニ。
シンプルな最少数のセンサーを最大限に生かすギュットミニK。

もしかしたら誤解している人もいるかもしれないが、センサーが多いほうがアシスト力が強いというのは間違いだ。
センサーが多いとアシストがシームレスになり違和感がなくなるといったほうが正しい。

まずお互いのアシストの強さだが、これについては最大値はほぼ拮抗している。
ヤマハもパナソニックもアシスト制御に関しては世界トップレベルであり、他社の追従などまったく許さないと言っても良いくらいで、本来はそこまでの違いは無い。
では何が違うかというと、キスミニが多機能なのに対して、ギュットミニKは単機能という発想の違いだ。
これを分かりやすく例えるなら、電子レンジあたりが良いかもしれない。

ご飯を温めるとして・・・
多機能レンジは自動的に内容を判断、温め時間を計算してくれて、温かくなったことをセンサーが確認してアラームを鳴らす。時間はちょうど1分だった。
一方、単機能レンジはご飯を入れる、ダイヤルを適当に回す、1分後にチン!と鳴ってご飯が温まる。
結果として、1分でご飯が温まったことに違いは無い。

「アシスト比率1:2」、「アシスト速度上限24km/h」
この2点は法律により設定されているため、スペック上に違いは出てこないが、実際に乗り比べると以下の部分の相違を感じた。

・キスミニは高ケイデンスでもアシストの詰まり感が少ない。
・キスミニはペダルの上死点、下死点でもアシスト力が一定に保たれる。

まさにセンサーの違いそのものだ。
上は速度センサー、下はクランクの回転センサーの有無によるものだが、個人的にはクランクの回転センサーは違和感があるのであまり好きではない。
最近の自動車のドライブ・バイ・ワイヤ(電スロ)の勝手な制御介入でバタフライが思い通りに動かないことにストレスを感じる人は、自分と同様に違和感を感じるかもしれない。
逆に言えば、全然気にならない、もしくは気が付かない人も多いと思われるため、やはり最終的には試乗して判断するのがいいだろう。

 ギュットミニK 操作スイッチ

キスミニ 操作スイッチ

スイッチはモード切り替えは同様だが、液晶表示の有無により、得られる情報量がキッスミニのほうが多い。
細かい部分ではパナソニックのスイッチは取り付けが縦方向なのに合わせて、パネル文字が縦書きになっているのが面白い。
これを「親切」と取るか、「野暮ったい」と取るかは、意見の分かれるところかもしれない。

  ギュットミニK 前ホイール

キッスミニ 前ホイール(速度センサー)

キッスミニだけが前輪に速度センサーを採用している。
センサーは付いていたほうが良い・・・という訳でもない。
このマグネットセンサーは樹脂で出来ているが、マンションや駅にある駐輪機の支持バーへの接触で破損が絶えない。
フィクションサイクルでも初期のアンジェリーノから続く問題となっているが、最初から付いていないなら故障のしようが無くてよい。

【後半作成中 後日予定】

1 件のコメント:

  1. 購入する上で非常に参考にさせて頂きました!
    我が家はギュットミニK を購入し快適にサイクリングを楽しんでいます。

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