2013年8月24日

電動アシスト自転車業界に忍び寄る「韓国メーカー」の影


日本の電動アシスト自転車とは、日本が開発し、そして成長させたガラパゴス的な商品であった。
その誕生は、厳しい道路交通法の中で、自転車としての規格内で原動機を搭載するという、かなり奇跡的なものであったと言ってもよい。
「アシスト」という言葉が重要であり、その機構だけ見れば、「原動機付き自転車」というジャンルがピッタリそうではあるが、これでは自動二輪、いわゆるバイクになってしまい、免許やヘルメット、税金の有無のほか、厳しい法律の制約を受けることとなってしまう。
この限りなく原動機付き自転車を、バイクではなく、自転車としての枠内に収め、そして商品化したヤマハには感謝しなくてはならないのかもしれない。
そしてこのグレーな領域に踏み込み、電動アシスト自転車というジャンルを確立できたのも、お上と繋がりの深いヤマハだったからこそ、実現できたのであり、ブリヂストンやパナソニックでは法律の壁を突破できなかったのではないかとの噂さえ聞いたことがある。



さてタイトルである、韓国メーカーとは何なのかというという話だが、
電動アシスト自転車は日本独自の規格があるため、海外製品がなかなか参入できないという特徴がある。
以前問題になったのが、中国製のフルアシスト電動自転車であり、海外には日本のような24km/h規制がないため、そのまま走らせると道交法に接触するのである。
(これはフィクションサイクルでも「電動自転車」と「電動アシスト自転車」を区別して書いている由縁でもある。)
このような“守られた市場”の中で成長した電動アシスト自転車は熟成され、近年の「LAOXタスカル」を代表するような中国製造の商品に対しても高いアドバンテージを誇っていた。
しかし韓国メーカーの進出はもっとほかの部分から来たのである。

2013年モデルの情報がネットのあちこちに出回るようになって気になっていたのは「サムスン」という存在だ。
サムスンといえば、誰もが知っている韓国を代表する世界的な大企業であり、もはやその勢いは日本メーカーですら追従できない規模に達している。
12年にはリチウムイオン電池の世界シェアではサムスンが、それまでトップだったパナソニックを抜き去り首位に躍り出ている。
そのサムスンが電動アシスト自転車のバッテリーのサプライヤーとして登場したのも、避けられないことだったのかもしれない。


電動アシスト自転車のバッテリーの供給もとは、公式に発表されているものではないが、自転車販売店の情報などを組み合わせて精査すると次のようになる。
※カッコ内は採用している自転車メーカー
※並びはシェア順(推定)

2011年
・三洋電機 (パナソニック/ヤマハ/ブリヂストン/三洋)
・NEC (パナソニック/サイクルベースあさひ)
・パナソニックエナジー (パナソニック)

2012年
・パナソニックエナジー+三洋電機 (パナソニック/ヤマハ/ブリヂストン)
・NEC (パナソニック/サイクルベースあさひ)

2013年
・パナソニックエナジー (パナソニック)
・サムスンSDI (ヤマハ/ブリヂストン)
・NEC (パナソニック/サイクルベースあさひ)

現在、電動アシスト自転車業界では、大手3社(パナソニック、ヤマハ、ブリヂストン)が全体の90%弱を占めていると考えられており、共同開発のヤマハ/ブリヂストン勢のシェアは40%弱にも上ると見られる。
この4割がサムスンSDIへの置き換えを進めているということは、つまり街で見かける電動アシスト自転車の半数弱が韓国製バッテリーになることに直結する。
まさに見えない部分、内部からの進入であり、日本メーカーをしっかり選択したつもりが、いつのまにか韓国製品を購入しているということでもある。

では、その気になる性能はということで、電池関係に詳しい人間に聞いてみたのだが、その答えは意外なものだった。

「現在の電池メーカーとしてのサムスンは世界トップクラスの技術水準であり、日本メーカーと比較してもなんら遜色はないだろう」

よく考えれば、世界シェア第一位なのだから、当然技術力も高いことは当たり前なのかもしれないが、電池産業は日本のお家芸であった時代から考えると、どこか寂しい気もしないわけではない。

そして信頼感ももちろんながら、ヤマハ/ブリヂストン勢がサムスンのバッテリーを導入したもう一つの経緯も、カンの鋭い方なら気が付くと思う。
従来、独立していた三洋がパナソニックに吸収されたことにより、ヤマハ勢は業界ライバルであるパナソニックから直接電池を購入する構図となってしまうのだ。
これは、誰が考えたって面白くないのは明らかだろう。

ここまでは推測の話も多かったが、間違いない事実として、韓国メーカーは間違いなく日本国内に参入してきている、そしてその技術力はけして侮ることなどできないという事だ。

フィクションサイクルは感情的に韓国製品を避けるつもりはないが、昨今の韓国との関係悪化を受けて、韓国製品を選択肢から除外する人も増えていると聞く。
そんな消費者には、見えないところからも韓国メーカーは入り込んでいるということを、しっかり認知してもらいたい。

国内メーカー時代のバッテリー


サムスンSDI製セル採用と見られるバッテリー


ちなみに、サムスンSDIバッテリーを実際に確認するには、2013年モデルのヤマハ、ブリヂストン商品のバッテリーを分解するのが一番確実だが、フィクションサイクルではそのようなもったいない行為は金銭面からも不可能である。

※バッテリーの供給元に言及しているサイトいろいろ
http://hk001100mca.jugem.jp/?eid=1247
http://zagato.de-blog.jp/cycle/2013/04/post_b199.html
http://yskst.kataribefilm.net/cycle/electric_cycle3/

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