2012年11月10日

自転車フレームの接合方法

一般的に自転車のフレームといえば、金属の丸いパイプが組み合わさってできている。
「そんなことは小学生でも言っている」と言われそうだが、ではパイプ同士がどうやって繋がっているのかということを詳しく答えられる人は多くないだろう。

まず材料と材料を繋ぎ合わせる方法は、大きく分けて3つだ。
・溶接する
・接着する
・ネジやリベットを利用して固定状態を維持する

自転車の場合、上2つが一般的であり、ボルトオンという手法は限られる。
自転車は人力で動かすものという点から、重量的に不利となるネジ止めはフレームにはほとんど使用されないが、反対に整備が必要となる付属品はすべてと言っていいほどネジで固定されている点は、自転車の不思議とも言えるが・・・。


少し話は反れたが、溶接と接着だけでほとんどのフレームの構造はカバーすることが出来る。
特に接着は一見すると特殊に思うかもしれないが、自転車にとってはもっともポピュラーな方法と言える。
例えば「ラグフレーム」という言葉をよく聞くと思うが、あれは分類上は溶接ではなく接着だ。
カタログなどに載っている作業風景を見ると、バーナーの炎を扱っている職人たちの写真から「溶接」というイメージを持ってしまうかもしれないが、ロー(ロウ)付けというものは半田付けのように、比較的低い温度で溶ける合金(ロウ)で母材を接着しているに過ぎないため、母材自体を溶かして融合させる「溶接」とは大きく異なる。
なぜ自転車はロー付けなのかと言えば、理由は多々あるが、軽量化した肉薄のパイプを溶かして繋ぎ合わせる作業には様々なデメリットが付き纏うというのが大きいだろう。
今となってしまえば、「Tig:Tungsten Inert Gas」と呼ばれる溶接技術が発達し、安価で高強度の溶接も可能となったが、それでもロー付けは現在でもなくてはならない手法の1つだ。
また現在主流のカーボンフレームも樹脂で固めて成型することから一種の接着とも言えるだろう。

接着のメリット
・熱の影響が少なく、母材の劣化が最小限に抑えられる。
・それぞれの材質が異なっても繋ぎ合わせることができる。
・ラグ(繋ぎ手)を使用すれば、パイプ自体の加工精度を高めなくても強い接着力が得られる。
・低温で作業できることから、大きな設備を必要としない。

接着のデメリット
・面接触していない部分では強度が保てない。
・ラグを使用した場合、重量が増加する。
・直接母材同士を繋ぎ合せる溶接に比べ、工程が多くコストがかかる。
・接着剤の場合は、経年劣化による接着強度の低下がおこる可能性がある。

溶接の場合のメリット、デメリットはこの反対となることが多い。
どちらが優れているかは一概には言えないが、現在の素材ごとの主流は以下の通りである。

【接着】(ラグ、ラグレス)
・スチール系フレーム(クロモリなどの肉薄パイプ)
・カーボンフレーム(モノコック、カーボンラグ、金属ラグ)
・木製フレーム(木材、竹材)

【溶接】
・スチール系フレーム(MTBや安価なシティーサイクルなど)
・アルミ系フレーム(Tig)
・マグネシウムフレーム(Tig)
・チタンフレーム(Tig)

写真で見るフレーム接合部の特徴

スチール ラグドフレーム

スチール フィレットブレージング(ラグレス)
※フィレットブレージングはラグを使用せずローを盛り固めてラグの機能を持たせたもの

カーボン カーボンラグ

カーボン モノコック

木製フレーム

竹製フレーム

スチールフレーム 溶接

アルミフレーム Tig溶接(ビート痕仕上げ無し)

アルミフレーム Tig溶接(ビート痕仕上げ有り)

チタンフレーム Tig

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