2012年7月15日

電動アシスト自転車メーカーの比較 【後半】




電動アシスト自転車メーカーの比較 【前半】からの続き
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2012/07/dendou-hikaku01.html


・パナソニック/Panasonic

・ヤマハ/YAMAHA

・ブリヂストン/BRIDGESTONE


電動アシスト自転車メーカーのバッテリー比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★★

他社には存在しない12Ah、16Ahの大容量ラインナップを展開しており、長距離走行モデルが主力となっている。
生産元は明らかにされていないが、ネット上の情報によるとサンヨー、NEC、パナソニックと3社からの供給となっている模様。
供給といっても2社はグループ会社であるため、実質自社製と考えて良いだろう。
この自社製という最材のメリットは最新技術が最優先で自社商品に投入できるところだろう。
1Ahあたりのバッテリー単価は8,322円/Ah(3.1Ah)~2,950円/Ah(16Ah) ※2012年7月現在

・ヤマハ ★★★★☆
現在の最大容量は8.9Ahとなっており、数値だけ見ればパナソニックには及ばないものの、実用の範囲で考えればこの容量はベストサイズのため、なんら不具合はないだろう。
パナソニック同様製造元は公開されていないが、以前よりサンヨーからの供給であると言われている。
パナソニックがサンヨーを吸収した今となっては、ライバルメーカーからの供給という微妙な構図にはなるが、2011年に同様のバッテリーを採用するパナソニックよりも早い段階で長寿命をアピールするなど、積極的な面も多く見られる。
パナソニックとの大きな違いは安全対策として期限タイマーが採用されており、一定の使用期間を過ぎると使用できなくなるように設定されている。※1
1Ahあたりのバッテリー単価は9,052円/Ah(2.9Ah)~4,129円/Ah(8.9Ah) ※2012年7月現在

・ブリヂストン ★★★☆☆
ヤマハ製のユニットを採用していることから、バッテリーもヤマハとまったく同じ仕様となっている。
単純に外装ケースのマーク違いだけで、お互いに互換性もある。
検査機器も同じものが使用できるため、ヤマハ取扱店でもバッテリーの検査や購入等が可能である。
新モデル発表時には、どうしてもヤマハより一歩出遅れるケースが多いようだ。
1Ahあたりのバッテリー単価はヤマハと同額

まとめ
現行モデルはすべて高性能リチウムイオンバッテリーとなっており、各社とも違いはほとんど無い。
加えて2011年からは各社とも高耐久、超寿命バッテリーへと切り替えを行っており、この面からもどの商品を選んでも同じと言える。
大容量バッテリー目当てなら迷わずパナソニックだが、ヤマハの8.9Ahもけして少ない数字ではない。
ただし、互換性という切り口で見た場合、パナソニックは2005年から7年間に渡り同じケース、車体形状を保っているため、基本的にモデル、年式に関わらず互換性がある。(例外を除く)
一方、ヤマハ、ブリヂストンは2011年に大きなモデルチェンジを行っており、それまでの旧モデルと互換性が無くなっている。
期間を空けての追加購入や、その後の様々な要因を想定すれば、市場に一番出回っているパナソニックが無難な選択となるだろう。
またヤマハ勢の12Ah以上のリリースは車体の設計上スペースの確保が難しいため、可能性は低いと思われる。

※1 2012年10月23日発表の情報によるとタイマープログラムは解除できるようになっている。
   詳しくは「PASリチウムイオンバッテリープログラム書き換えについて」を参照。


電動アシスト自転車メーカーの車体性能比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★☆
国内ではブリヂストンに次ぐ二位メーカーであり、日本国内に自社工場を持つ希少な存在である。
一般自転車のラインナップは非常に広く、特にパナソニックオーダーシステム(POS)はすべて大阪の自社工場製となっており、電動アシスト自転車にもそのフィードバックが生かされている。
フレームにチタニウムを採用したフラッグシップモデルから、普及版のU型フレームまですべて同じ工場内で製造されていることから、そのレベルはかなり高いところにあると言える。
一部のアルミフレームは海外製造となるが、車体番号が「G」で始まることから世界最大手のジャイアントのOEMと予想され、品質的には十分だろう。
自社工場の最大のメリットは企画から商品発売までのリードタイムが最小限に抑えられるところにあり、パナソニックのラインナップが豊富な理由もここにあると考えられる。
また、フレーム以外の構成パーツも改良に積極的で、毎年少しずつマイナーチェンジが加えられている。
2012年からは家電でおなじみのエコナビを搭載しており、オートライトや省エネ機能などが充実しており、やはり家電メーカーであるということが強く印象付けられている。

・ヤマハ ★★★☆☆
車体はブリヂストン製となっており、ヤマハ自身は一切製造を行っていない。
しかし国内首位メーカーのブリヂストンということもあり、品位は極めて高い水準にある。
またヤマハにはブリヂストンブランドでは発売されていないオリジナル車種が複数あり、完全にラインナップが同じと言うわけではない。
デザインもヤマハ独自のものとなっており、ヤマハらしいシンプルなデザインにまとまっている。
パーツ構成に関しては、残念ながらブリヂストンがすべての付加価値装備を供給しているわけではなく、ブリヂストンの同クラスモデルとの比較ではやや簡素化されており、その分価格は数千円低めに設定されていることが多い。

・ブリヂストン ★★★★★
誰もが知っている国内圧倒的首位の自転車総合メーカーである。
電動アシスト自転車では国内3位に甘んじてはいるが、自転車で培ったノウハウを次々と注ぎ込んでいる。
なかでもアンジェーリーノシリーズなどは長年の自転車での歴史と経験がなければあれほどのヒット商品にはならなかっただろう。
デザイン面でも売れ筋を良く理解しており、コーディネートが非常に上手いと言える。
雑誌とタイアップして話題となった「HYDEE.B」においては、パナソニックやヤマハでは絶対に発想すらしないジャンルを見事に制しており、自転車の技術力に加え、マーケットリサーチにも長けていることが想像できる。
パーツ構成に関しても、自社のオリジナル装備を惜しみなく組み込んでおり、諸事情を考慮しなければ、ヤマハより商品レベルは高い位置にあると言えるだろう。
フレームは軽量、高剛性のアルミニウム製がメインとなっているが、現在のところアルミフレームを国内で製造するメーカーは皆無に近いため、中国の自社工場製になると思って間違いないだろう。

まとめ
純粋な“日本製”にこだわる必要があればパナソニック一択となってしまうが、良い自転車ということであればブリヂストンは良い選択といって間違いない。
使用してみて分かるメーカーの気配りはやはり首位メーカーであり歴史の長いブリヂストンだろう。
しかし電動アシスト自転車はユニット、バッテリー、自転車が一体となって初めて効果を発揮するものなので、自社一貫生産のパナソニックはやはり強みがあるのも事実だ。


電動アシスト自転車メーカーのデザイン比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★☆
最近では斬新なデザインやトレンドのカラーを採用しているパナソニックだが、数年前までは“野暮ったい”、“アカ抜けない”などと言われ出遅れた感があった。
本体が家電メーカーの大御所ということもあり、メーカーロゴから「どこか床の間の雰囲気がする」という意見もある。
自転車ではやや不人気のイメージだが、電動アシスト自転車というジャンルにおいてはこのメーカーロゴが信頼の証となっており、また近年のデザイン性の向上もあり、数々のグッドデザイン賞受賞をはじめ、数年前に大ヒットした「A.girl's」以来、女性受けする商品に力を入れており、ギュットシリーズではメインカラーにショッキングピンクを採用するなど、他社に劣らないデザイン性を確立した。

・ヤマハ ★★★★★
バイクメーカーということで、スポーティーな乗り物のイメージが強い。
ヤマハと聞くと楽器を想像する人も多いだろうが、乗り物部門とはほぼ関係はない。
バイク、マリン製品、電動アシスト自転車が事業の中核であり、商品カタログやWEBサイトなどを見ても、デザインに力をいれていることがすぐに分かる。
車体のデザインはシンプルにまとまっており、各パーツが目立つことなく協調しあってシルエットを構成しているため、万人受けする統一されたラインナップ展開となってる。
また「YAMAHA」のロゴを前面に押し出していないのが特徴。

・ブリヂストン ★★★★☆
一般自転車でヒットした配色を巧みに取り込んでおり、商品のデザインジャンルが幅広い。
若年層、主婦層、年配層、男性、女性などとさまざまなターゲットごとにデザインやカラーを特化させており、ヤマハほどの統一性はないが、上手くハマればシックリくる商品が多いだろう。
ヤマハと同等クラスの商品においても小物でアクセントを聞かせるのが得意であり、差別化を図っている。
自転車でヒットしたカラーが中心になるため、定番のカラーがほぼ決まっており、パナソニックやヤマハほどの目新しさが無いことが多い。
近年は茶色系パーツを多用したクラシック風の商品展開が目立つ。

まとめ
デザインやカラーはそれぞれの好みとなるためあえて言及はしないが、商品ラインナップやカラー展開についてはパナソニックが一番充実しているため、好みのものがなかなか見当たらない場合は、パナソニックの中でじっくり時間をかけて選ぶという選択もある。
またヤマハでピンと来ない場合でもブリヂストンの同クラス商品ならOKということもあるかもしれない。



これまでパナソニック、ヤマハ、ブリヂストンと細かい点について比較してきたが、細かくなければ本当に同じような商品レベルとなってりまっている。
これは現在、電動アシスト自転車が世間よりかつてないほどの脚光を浴びており、各メーカーがしのぎを削って商品力の向上に執念を燃やしているためだと考えられる。
もしこの3社の内、1社でも存在しなかったら、今のような電動アシスト自転車の市場発展は望めなかっただろう。
しかしこれからは海外メーカーの参入がいよいよ加速し、国内の市場も大きく変化の時を迎えることが予想され、生き残りをかけた本当の戦いが始まりそうだ。

※オススメ度についてはフィクションサイクルの主観によるものです。なんら技術的資料に基づくものではありません。




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※参考情報
加藤サイクルさん
http://www.katocy.com/cgi-bin/katocy/siteup.cgi?category=4&page=1

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